記憶の暴力と表象の暴力
在日の起源と形成過程、今日
1、歴史的経緯-在日朝鮮人の起源と形成過程
*植民地支配 1905年 大韓帝国の保護国化 朝鮮統監府 1910年 「日韓併合」 朝鮮総督府 日本への移住…経済的問題/土地収奪 <強制連行> 1938年4月 1日公布 「国家総動員法」朝鮮・台湾・樺太にも施行 1938年9月13日 閣議決定「昭和十四年度国家総動員実施計画二関スル件」 1939年7月 4日 「昭和十四年度労務動員実施計画綱領」閣議決定 第一次労務動員計画実施 近代的インフラ整備に関わる底辺労働 鉱山労働・ダム建設・鉄道敷設・道路建設・港湾建設2、北海道における朝鮮人-_植民地期初期の移住
1913年 41人 1917年 1706人(北海道炭礦汽船株式会社の労務者募集開始による)
表1 在日朝鮮人数 年度 全国(人) 北海道(人) 年度 全国(人) 北海道(人) 1911 2,527 - 1933 456,217 8,045 1912 3,171 - 1934 573,695 8,976 1913 3,635 41 1935 623,678 9,414 1914 3,542 40 1936 690,501 11,629 1915 3,917 53 1937 735,689 11,249 1916 5,624 95 1938 799,878 12,063 1917 14,502 1,706 1939 961,591 38,700 1918 22,411 1,740 1940 1,190,444 90,005 1926 143,798 4,374 1941 1,469,230 112,310 1927 165,286 5,066 1942 1,623,054 158,715 1928 238,102 6,446 1943 1,882,456 172,393 1931 311,247 7,195 1944 1,936,843 259,330 1932 390,543 7,745 1945 統計なし 276,343 『社会運動の状況』(第五巻 在留朝鮮人)、『特高月報』、『北海道庁統計書』、『北海遣と朝鮮人労働者』、民団ホームページより、筆者作成 3、アイヌ集落における朝鮮人
1)前近代期における沙流川流域のアイヌ民族と朝鮮人のつながり 2)戦時期の平取町 軍需物資 クロム鉱山(日東鉱山・新日東鉱山・八田鉱山・糠平鉱山) 鉄道敷設(富内線) 3)朝鮮人の定住化の過程 逃亡→アイヌの人々の支援 養子縁組 「越年婿」4、日本の敗戦=朝鮮の解放
1947年外国人登録令 サンフランシスコ講和条約 1951年締結 1952年発効 日本在住の旧植民地出身者の国籍を剥奪→在日朝鮮人・台湾人の難民化 朝鮮戦争の休戦1952年5、在日朝鮮人の社会的補償・地位
戦後補償からの一切の排除(戦犯としては「日本人」) 援護法に国籍条項を記載 1960年代の帰還奨励運動→在日朝鮮人をすべての福利厚生から除外する方針 (厚生省内部資料から) 社会保障制度 ほとんどの社会保障制度から除外されていたが、 1979年 国際人権規約批准により、国籍条項の撤廃・削除がすすむ 国民健康保険 1958年 外国人を排除 自治体により加入認可 1986年 保険制度改正により加入 国民年金 1959年 国籍条項により排除 1982年 強制加入 児童扶養手当法・特別児童扶養手当法・児童手当法→1982年 国籍要件削除 住宅金融公庫法・公営住宅法・住宅都市整備公団法・地方住宅供給公社法 →1979年 国籍条項撤廃 民族教育への抑圧と排除 文部科学省からの補助金なし/国公立大学への入学資格なし 就職問題 国籍条項により公務員は不可 一般企業における国籍条項による排除 参政権 なし 「帰化」という手段について6、歴史認識をめぐって-アジア侵略の忘却・歪曲
戦争被害国としての平和運動 ヒロシマ・ナガサキでの朝鮮人被爆者の存在 自由主義史観「新しい歴史教科書をつくる会」1997年 (ドイツにおける保守派の「愛国心」をめぐる発言) 教科書間題 植民地研究をめぐって 植民地近代化論7、表象をめぐって-継続する挑発と侮辱
嫌韓流/ネットウヨ 北朝鮮報道 排外的表象の増殖を阻止するためには権力に対する人間の闘いとは、忘却に対する記憶との闘いに他ならない(ミラン・クンデラ)